Federico Ghezzi

イタリアのクリエイティブなヘアスタイリストであるフェデリコ・ゲッツィへのインタビュー。彼の美容業界での歩み、ヘアスタイリングに対する独自のアプローチ、そして現代のトレンドについて語ってもらいました。長年にわたりファッションショーや撮影の現場で活躍してきたフェデリコが、創造性と既成概念を打ち破ることの重要性について語ります。
The Fashiongton Post: フェデリコさん、昔のヘアスタイルのトレンドの中で密かに好きなものはありますか?もし復活させられるとしたら、どのスタイルを選びますか?
Federico Ghezzi: 1960年代初頭のボリュームのあるヘアスタイルが大好きです!あの時代の特徴的な形やスタイルが、現代の日常生活にもっと取り入れられたら素敵だと思います。例えば、スーパーマーケットに行ったとき、カラフルなファッションに身を包んだ人々が印象的なヘアスタイルをしていたら、楽しくてワクワクするでしょう。私はドラマティックなスタイルが好きなので、そういった変化が現代社会に新しい空気を吹き込むと思います。
F.P.: 逆に、もう消えてほしいと思うトレンドはありますか?
F.G.: 正直に言うと、過度にルーズでだらしないヘアスタイルはあまり好きではありません。まるで病気のように見えるスタイルは、あまり魅力的に感じませんね。たとえば「やりっぱなし」スタイルの女王とされるケイト·モスでさえ、どんなにラフなスタイルでもエレガンスを失っていませんでした。もちろん、これは個人的な好みの問題ですが、私の美的感覚では、グラマラスな要素は不可欠です。例えば、ヘルシーで自然な髪、洗練されたシンプルな美しさ、あるいはアヴァンギャルドなヘアデザインなど、それぞれのスタイルが持つ美しさを大切にしたいです。
F.P.: モデルやセレブリティがあなたの提案に抵抗したことはありますか?その場合、どう対応しましたか?
F.G.: もちろん、そういう場面はありますね。特に大胆なスタイルを提案する場合、最初はためらう人もいます。でも、私は常にクライアントの気持ちを尊重しながら、最善の解決策を見つけるよう努めています。ファッション撮影では、ヘアスタイリストだけでなく、フォトグラファー、メイクアップアーティスト、スタイリストなど、さまざまなプロフェッショナルが一緒に作品を作り上げます。だからこそ、新しいアイデアに挑戦し、時には枠を超えた発想をすることで、素晴らしい作品が生まれるのです!
F.P.: 髪のスタイリングで金属やレース、紙など、非伝統的な素材を使ったことはありますか?
F.G.: 髪は、まるでキャンバスのようにさまざまな素材と組み合わせることができるので、とても面白いですね。私自身も、金属、布、食用ゼラチン、特殊な塗料、さらには液体プラスチックまで、あらゆるものを試してきました。髪という素材の可能性を広げることで、新しい表現が生まれるのがとても楽しいです!
F.P.: 顔の形に合わせたヘアスタイルの「ルール」を信じていますか?それとも、そうしたルールは破るべきだと思いますか?
F.G.: どちらも正しいと思います。日常のヘアスタイルでは、顔の形やバランスを考えることで、その人の魅力を引き出すことができます。でも、アートやファッションの分野では、こうしたルールを無視しても良いと思います。むしろ、常識を覆すことで、新しいクリエイティブなスタイルが生まれるのです。
F.P.: 髪に関する最大の誤解を一つ挙げるとしたら?
F.G.: 一番多い誤解は「髪を頻繁に洗うほど、清潔で健康的になる」という考えです。実際はその逆で、頻繁に洗うと頭皮が余計に皮脂を分泌し、かえって髪が脂っぽくなります。長時間の撮影では、ナチュラルなボリュームを出したいときに、前日の洗髪を控えてもらうこともあります。
F.P.: もしヘアスタイリストになっていなかったら、どんなクリエイティブな仕事をしていたと思いますか?
F.G.: きっと建築家になっていたでしょう!私は普段から、訪れた場所を「もしこうだったら?」と頭の中で再設計するのが好きなんです。おそらくその影響で、1950~60年代の建築的なヘアスタイルに強く惹かれるのだと思います。
F.P.: ファッション業界のヘアスタイリストとして、一番やりがいを感じる瞬間は?
F.G.: これは私の個人的な夢の実現でもあります。イタリアの小さな町で生まれた少年が、世界中を旅し、さまざまな国の人々と出会い、多くの刺激を受けながら、自分の手で新しい美を生み出せるなんて、まるで夢のようです。この仕事を通じて、自分が生まれ育った環境を超え、より広い世界を体験できたことに感謝しています。
F.P.: 最後に、ファッショントン・ポストの読者へメッセージをお願いします。
F.G.: 私が昔もらったアドバイスの中で、一番大切にしている言葉をお伝えします。それは…「心の中で感じるものがあるなら、それを信じて行動しよう!」