Ruslan Migranov
スタイルとファッションの背後にある物語を明らかにし、衣服とトレンドが過去と現在の時代をどのように形作ってきたかをたどる、風変わりなファッション歴史家、ルスラン·ミグラノフ氏へのインタビュー。
The Fashiongton Post: ルスランさん、ファッションの歴史家という非常に珍しい職業にどのように関わることになったのですか？子供の頃からファッションに興味があったのでしょうか、それとも大人になってから気づいたのでしょうか？
Ruslan Migranov: 子供の頃からファッションに興味があったわけではありませんが、異なる国々の歴史や王朝、魅力的な人生の物語には常に興味がありました。最初は法学を学びましたが、すぐにそれが退屈だと感じました。20歳の時に大きな病気にかかり、もし回復したら毎日を大切にし、喜びをもたらす職業を選ぶと誓いました――まるで仕事が趣味のように！自分の状況を分析した結果、ファッションの歴史を語りたい、ファッションの歴史家になりたいと思い始めたので、自己学習を始めました。その当時、インターネットは今ほど情報が豊富ではなかったので、たくさん本を読んだり、すべてのお金を旅行に使ったりしていました。子供の頃から、人々は私にカリスマ性があると言っていましたが、これは私の職業にとって非常に重要で、私の観客の大半は女性です。その後、上海に留学し、素晴らしいプレゼンテーションの鍵は座らずに歩き回ることだと学びました。声を使うだけでなく、手の動きも取り入れるべきです――なぜなら、声で情報を受け取る人もいれば、ジェスチャーを通じて受け取る人もいるからです。
F.P.: もしファッション業界が今日から新しい服を生産しなくなったとしたら、どの歴史的な時代の衣装がスタイルと機能性の観点で最も長く私たちを支えてくれるでしょうか？
R.M.: 間違いなく、1980年代です！肩パッドが大きく流行り、キャリアを築くことがトレンドだった豊かな時代です。「ダイナスティ」や「サンタ·バーバラ」などのテレビ番組に世界は魅了されました。この時期はブランド狂熱の始まりでもありました。この時代のエコーは今でもランウェイに現れ、最近の広い肩のトレンドに反映されています。同時に、80年代はパンクやスポーツウェアからクラシックなエレガンスに至るまで、さまざまなスタイルを受け入れていました。
F.P.: もし時間旅行ができるとしたら、今日のファッションを最も衝撃的に感じる時代はどこで、どの時代が最も理解してくれるでしょうか？
R.M.: もし現代の服を着た男性と女性を15世紀から18世紀に送ったとしたら、その時代の人々は私たちをほぼ裸だと見なすでしょう――特に夏の服装であればなおさらです。彼らにとって、私たちは下着しか着ていないように見えるでしょう！私たちは不道徳として簡単に刑務所に入れられるかもしれません。当時、服を着るのに女性は約40分かかりましたが、それは多くの層があったためで、これもステータスの象徴でした。しかし、公正を期すために言うと、現代の人々も当時の多くの衣服に衝撃を受けるでしょう。現代の服装を最も受け入れることができるのは、20世紀初頭、特に1920年代の人々でしょう――ちょうど100年前のことです。興味深いことに、男性のスーツは過去100年間ほとんど変わっていません。
F.P.: 歴史の中で最も誤解されている服は何ですか？
R.M.: ベストです！ブレザーとは異なり、ベストはどのワードローブにも欠かせないアイテムではありません。もちろん、時折ファッションに登場し、グラマ雑誌に掲載されることはありますが、主流のトレンドにはなりません。これは非常に残念です。なぜなら、ベストは個性を示す素晴らしい方法だからです！
F.P.: 現在の布地の革新はピークに達したと思いますか、それとも未来の繊維は今日の素材を原始的に見せるでしょうか？
R.M.: 今日のファッションで現代的で超クールに見えるものは100年後に笑われることになるでしょう――それは常にそうだったのです！私は、人類が火星を植民地化する際には、衣服の世界でまったく新しいものが現れるだろうと信じています。
F.P.: もし過去のデザイナーを現代の世界に連れて来たとしたら、誰が現代のファッションに最も適応するでしょうか？
R.M.: 時代を問わず自然に溶け込むことができ、その時代を真に理解していたカール·ラガーフェルドです。もし1960年代の若きカールを現代に送ったとしても、彼は即座に適応するでしょう。彼は生前、誰よりも早くプラ·ア·ポルテ（即売服）の未来を見抜きました。カールは常に新しい世代の精神に合わせていました。
F.P.: もし博物館から1つの衣装を盗んで1日着ることができるとしたら、それは何ですか？
R.M.: 私自身ファッション博物館で働いていたので、博物館の品々には大きな敬意を持っています。でももし盗むチャンスがあったら、普通のネクタイを盗むでしょう――なぜなら、それは損傷を与えることなく着ることができる数少ないアイテムの一つだからです（博物館の品々としては珍しいものです）。しかし、私はとても責任感が強いので、盗みは無理です！ 🙂
F.P.: ファッション史に関することで、あなたが聞き飽きた最も大きな神話は何ですか？
R.M.: ココ·シャネルが小さな黒いドレスを発明したという考え――そしてそれを誰もが信じている――は、ファッション史上最大の神話の一つだと思います！彼女は小さな黒いドレスの一つのバージョンを作り、それがよく売れましたし、模倣されることを公然と受け入れていました。しかし、当時は他の多くのファッションハウスも小さな黒いドレスをデザインして販売していました。それらは1930年代の大恐慌や第二次世界大戦を乗り越えることができなかっただけで、シャネルの家は生き残りました。
F.P.: もし未来のファッション歴史家のためにタイムカプセルを作るとしたら、どの5つの現代的な衣装を入れますか？
R.M.: 私のカプセルワードローブにはジーンズ、ブラウス、ブレザー、小さな黒いドレス、そしてマノロ・ブラニクのヒールを入れるでしょう。
F.P.: ファッション史について、もっと質問してほしいことは何ですか？
R.M.: ファッションは何に依存しているのか、現代のファッションは進化しているのか、そしてそれはどこに向かっているのか？
F.P.: 冷戦時代、ロシアとアメリカのファッションは政治と同じくらい戦場でした。今もその状況は変わらないと思いますか？
R.M.: 私はそうは思いません。あの時代は違う時代で、違う人々がいて、鉄のカーテンがありました。今では、グローバリゼーションが進み、あらゆる方向から誘惑が私たちに何かを提供してくれます。現代のファッションはマスマーケットです。自分自身のスタイルを作り上げることができますし、多くの若者は政治には興味がなく、ビデオゲームに興味があるのです。1950年代から1960年代では、ラインとシルエットに焦点が当てられていました。全く違う時代でした。
F.P.: もしロシアと外国のファッションデザイナーから、過去または現在において本当に尊敬している3人を挙げるとしたら、誰でしょうか？そしてその理由は？
R.M.: ジョン・ガリアーノは天才的な仕立て屋です。彼が「ディオール」で行ったことはすでに博物館に展示されています。彼は素晴らしいランウェイショーを作り上げ、それぞれがミニ映画のようでした。イブ・サンローランは現代の女性のワードローブを作り、彼がデザインした女性用パンツのカットは本当にモニュメントを建てるに値します。そしてもちろん、「すべてのマスターの中のマスター」、天才バレンシアガです――彼は常に女性に謎を与え、それを解き明かしたくなるようにしました。ロシアのオートクチュールの中では、エクセプショナルな才能を持つナデジダ・ラマノヴァがいました。彼女は皇帝や貴族のためにドレスを作り、フランスの有名なデザイナー、ポール・ポワレに影響を与えました。また、ロシアのデザイナーでは、厳しい物資不足の中で傑作を生み出したヴィャチェスラフ・ザイツェフと、パリでファッションショーを発表し、ファベルジェの卵に捧げたオートクチュールコレクションを発表したバレンチン・ユダシュキンを挙げることができます。
F.P.: 伝統的に、「ファッショントン・ポスト」の読者に向けてのアドバイスはありますか？
R.M.: 幸せになるために重要なことは三つあります。それは、愛、面白い仕事（または趣味）、そして旅行する機会です。これら三つを見つけられることを願っています！
